プロフィール

 

教員基礎情報
氏名 黒坂 俊昭(クロサカ トシアキ) 所属 音楽学 / 大学院
ローマ字 KUROSAKA Toshiaki 専攻
性別
生年月日 1954/11/19


学歴
入学卒業学校名学部・学科学位
 1978年03月大阪大学文学部美学科音楽学専攻卒業 文学士 (卒業論文) クラウディオ・モンテヴェルディの《オルフェーオ》 文学士
 1984年03月大阪大学大学院文学研究科(芸術学専攻)博士前期課程修了 文学修士(修士論文) モンテヴェルディと西洋近代音楽の成立:オペラ《ポッペアの戴冠》をめぐって 文学修士
 1987年03月大阪大学大学院文学研究科(芸術学専攻)博士後期課程単位取得退学  
職歴(相愛大学)
開始年月終了年月学校名所属職名授業名
1988年04月1990年03月相愛大学音楽学部専任講師西洋音楽史、音楽学演習
1990年04月1996年03月相愛大学音楽学部助教授西洋音楽史、音楽美学、楽書講読
1996年04月現在に至る相愛大学音楽学部教授音楽学概説、西洋音楽史、音楽学研究
2018年04月現在に至る相愛大学大学院音楽研究科教授音楽学研究演習、西洋音楽史特別演習
職歴(相愛大学以外)
開始年月終了年月学校名所属職名授業名
1986年04月1987年03月神戸学院女子短期大学 非常勤講師音楽史特講
1986年04月1988年03月大阪音楽大学音楽学部非常勤講師西洋音楽史「オペラ」
1987年04月1988年03月神戸学院女子短期大学 専任講師音楽史特講、日本音楽史
1989年04月2007年03月大阪音楽大学音楽学部非常勤講師西洋音楽史概論、音楽美学
1990年04月2020年03月神戸松蔭女子学院大学文学部非常勤講師音楽入門
1991年04月2013年03月仁愛女子短期大学音楽科非常勤講師音楽史特講
所属学会
日本音楽学会
学協会活動
開始年月終了年月所属役職名
1976年09月現在に至る音楽学会 (現、日本音楽学会) 会員 
1976年09月2019年03月美学会会員 
1981年07月1985年03月音楽学会 (現、日本音楽学会) 役員: 幹事 
1989年04月1993年03月日本音楽学会役員: 委員 
1992年04月2019年03月イタリア学会会員 
1995年04月1999年03月日本音楽学会役員: 委員 
2001年04月2019年03月キリスト教礼拝音楽学会会員 
2003年04月2007年03月日本音楽学会役員: 委員 
2003年04月2007年03月日本音楽学会学会誌 『音楽学』(第49巻~第52巻) 査読委員・編集委員 
2008年04月2014年03月日本高等教育評価機構評価員 
2009年04月2022年03月日本高等教育評価機構 大学機関別認証評価評価員
2014年04月2016年03月日本高等教育評価機構 大学評価員団長
2015年04月2016年03月日本高等教育評価機構 大学機関別認証評価団長
2018年04月2019年03月日本高等教育評価機構 大学機関別認証評価評価員
2019年09月2021年03月日本ヘリコバクター学会倫理委員会委員
2020年06月2021年03月日本高等教育評価機構 大学機関別認証評価評価員
社会貢献活動等
開始年月終了年月事項
1982年09月1982年09月明石オペラ協会公演 オペラ《フィガロの結婚》 舞台監督助手
1983年05月1983年05月明石オペラ協会公演 オペラ《夕鶴》 演出助手
1983年10月1983年10月明石オペラ協会公演 オペラ《魔笛》 舞台監督助手
1991年11月1991年11月大阪市民大学開放講座講師
1993年05月1993年09月武生ユニバーシティ講座講師
1993年10月1994年02月鯖江市民大学講座講師
1993年10月1993年10月大阪市民大学開放講座講師
1994年10月1995年02月武生ユニバーシティ講座講師
1995年06月1995年06月武生国際音楽祭 ’95講座講師
1998年12月1998年12月(学術シンポジウム)「20世紀音楽《フランスの寄与》」 コーディネート及び司会
1999年02月1999年02月NHKハイヴィジョン・オペラシアター オペラ《仮面舞踏会》 解説
2002年10月2002年10月相愛大学音楽研究所 レクチャー・コンサート No.1「ショパン・音楽の旅: F.ショパンの生涯とその名曲を訪ねて」の企画・監修
2003年10月2003年10月相愛大学音楽研究所 レクチャー・コンサート No.2「ショパン・音楽の旅: F. ショパンを名曲を訪ねて」の企画・監修
2005年04月2005年04月日本高等教育評価機構評価員 
2005年10月2005年10月相愛大学音楽研究所 レクチャー・コンサート No.3「ポーランドを愛したもう一人の巨匠: K. シマノフスキの生涯を訪ねて」の企画・監修
2006年04月2011年09月神戸新聞文化センター講師
2008年04月2009年03月日本高等教育評価機構認証評価担当評価員 (大学機関別認証評価の実施)
2009年04月2010年03月日本高等教育評価機構認証評価担当評価員 (大学機関別認証評価の実施)(まで)
2012年08月2012年08月大学・専修学校等オープン講座講師
2012年11月2012年11月甲陽学院中学校同窓生講演会講師
2014年04月現在に至る学校法人 辰馬育英会 評議員会委員(評議員)
2016年09月現在に至る医療法人社団 青山内科クリニック 倫理審査委員会委員
受賞歴
受賞年月事項受賞者
2013年02月"Za zasługi dla UMFC" w roku 25-lecia podpisania umowy bilateralnej o współpracy (相愛大学とショパン音楽大学の協力合意書に基づく、25年間に亘るショパン音楽大学UMFCに対する功労) 
授業科目等(現年度を含む過去3ヶ年)
年度学期授業名
2020通年作品研究報告書制作
2020通年西洋音楽史特別演習B
2020通年音楽学研究演習Ⅱ
2020前期音楽学演習ⅡA
2020前期音楽学概説A
2020前期音楽学基礎研究A
2020前期西洋芸術音楽総合演習Ⅰ
2020前期西洋音楽史A/西洋音楽史(中世・ルネサンス・バロック)
2020前期楽書講読(英語)ⅡA
2020通年特殊研究Ⅲ
2020前期音楽学演習ⅠA
2020前期西洋音楽史演習/音楽の歴史と文化B
2020前期楽書講読(英語)Ⅰ/楽書講読(英語)ⅠA
2020前期西洋音楽史演習A
2020後期音楽学演習ⅡB
2020後期音楽学概説B
2020後期音楽学基礎研究B
2020後期西洋芸術音楽総合演習Ⅱ
2020後期西洋音楽史(古典派・ロマン派)
2020後期楽書講読(英語)ⅡB
2020後期音楽学演習ⅠB
2020後期楽書講読(英語)Ⅱ/楽書講読(英語)ⅠB
2020後期音楽美学
2021後期音楽の楽しみ
2021前期音楽学基礎研究 A
2021前期音楽学演習ⅡA
2021前期音楽学概説 A
2021前期西洋芸術音楽総合演習Ⅰ
2021前期西洋音楽史(中世・ルネサンス・バロック)
2021前期楽書講読(英語)ⅡA
2021通年特殊研究Ⅲ
2021前期卒業研究
2021前期音楽の歴史と文化 B
2021前期楽書講読(英語)ⅠA
2021通年作品研究報告書制作(3)
2021通年西洋音楽史特別演習A
2021通年音楽学研究演習Ⅱ
2021後期音楽の歴史と文化 B 
2021後期音楽学演習ⅡB
2021後期音楽学概説B
2021後期西洋芸術音楽総合演習Ⅱ
2021後期西洋音楽史(古典派・ロマン派)
2021後期楽書講読(英語)ⅡB
2021後期卒業論文
2021後期音楽学演習ⅠB
2021後期楽書講読(英語)ⅠB
2021後期音楽美学
2022前期音楽の歴史と文化 B
2022前期音楽学演習ⅠA
2022前期楽書講読(英語)ⅠA
2022前期西洋音楽史(中世・ルネサンス・バロック)
2022前期楽書講読(英語)ⅡA
2022通年特殊研究Ⅲ
2022前期西洋芸術音楽総合演習Ⅰ
2022通年作品研究報告書制作(3)
2022前期音楽学基礎研究 A
2022通年西洋音楽史特別演習B
2022前期音楽学概説 A
2022前期音楽学演習ⅡA
2022前期卒業研究
2022後期音楽の歴史と文化 A
2022後期音楽学演習ⅠB
2022後期西洋音楽史(古典派・ロマン派)
2022後期楽書講読(英語)ⅡB
2022後期西洋芸術音楽総合演習Ⅱ
2022後期音楽の楽しみ
2022後期楽書講読(英語)ⅠB
2022後期音楽学概説 B 
2022後期音楽学演習ⅡB
2022後期卒業論文
2022後期音楽美学
その他の教育活動
年度学内学外
1995大学設置基準の大綱化に伴う、新カリキュラムの作成  音楽学部教務委員 
1998相愛大学音楽学部音楽専攻科の設置 音楽学部教務部長(現教務主任) 
1999相愛大学音楽学部の改組(3学科体制から1学科体制へ)に伴う申請業務、及びカリキュラムの改訂 音楽学部教務部長(現教務主任) 
2010ショパン音楽大学夏期講習引率(19日間) 
2011ショパン音楽大学夏期講習引率(21日間) 
2011 国立情報学研究所学術機関リポジトリ構築連携支援事業 DRF-ARMS 主題ワークショップ「美大・音大・体大から論文以外の学術成果を発信する」における講演 (12月22日)
2012ショパン音楽大学夏期講習引率(19日間) 
20172018年4月、相愛大学大学院音楽研究科の設置 学長補佐  
2017相愛大学音楽学部におけるカリキュラムの改訂(2018年度より使用)  学長補佐 

教員研究業績
研究分野: 音楽学 / 西洋音楽史
研究キーワード: ポーランド音楽 / ルネサンス期とバロック期 / キリスト教音楽
教育上の能力に関する事項
教育方法の実践例
開始年月終了年月表題概要
1999年04月現在に至る修了演奏会と関連させた音楽研究音楽専攻科の『特殊研究Ⅲ』における音楽学的授業の展開。(受講生は演奏を専攻とする学生。) 専攻科に在籍する演奏系の学生は、日常的に実技の修練に励んでいるが、その学生の多くが演奏という表現において感覚や感性を重視する傾向が強い。しかし、たとえ演奏という営みが感性の表現であるとしても、理性的な制御がなければそれは成立しない。その対象物(=演奏する楽曲)に対して客観的に接することができる能力の必要性を意識させるのがこの授業の目的である。そこで、年度末に開催される修了演奏会で演奏する楽曲およびその作曲家をめぐって、楽曲分析だけでなく、歴史的、社会史的、伝記的に客観的な考察を加え、演奏会でもより完成された演奏が披露できるよう、実際の演奏会との関連において授業を展開している。またその研究成果は、演奏会のプログラムにおける楽曲解説の形に整え、広く配布している。
2002年04月2011年01月教科書に代えて、授業毎に自作のプリントを作成(毎年改正)西洋音楽史の授業において、ヨーロッパの音楽の歴史を全25回に分けて講義するにあたって、その各々の授業について自作のテキストを作成した。またそのテキストには、授業で用いられる楽曲について、ほとんどの楽譜(大曲の場合は一部分)を添付している。一般に音楽史に関する書籍は音楽の様式を追っていくのに対し、配布プリントではそれに加えて、音楽を西洋史全般と関連させ、受講生にヨーロッパの歴史に息づく音楽の有様を解説している。
職務上の実績に関する事項
その他
日付事項概要
2000年4月1日研究誌の編集・発刊、レクチャー・コンサートの開催音楽研究所長として「研究誌の編集・発刊」: 第7巻(平成12年度)~第11巻(平成21年度) 「レクチャー・コンサートの開催: 平成14年、15年、17年
研究業績に関する事項
著書
書名単著・共著年月発行所、発表雑誌 (及び巻・号数)等の名称編者・著者(共著の場合のみ)該当ページ数概要
音が織りなすパフォーマンスの世界 (全425ページ) 共著1987年04月昭和堂 編集世話人: 山口修、中川真、畑道也、網干毅、中山明慶  共著者: 中川真 他pp. 97~111[著書概要] 音楽のパフォーマンスを身体行為という狭い範囲に限定するのではなく、音楽の捜索・演奏・鑑賞のそれぞれで行われている営みとして捉え、そのパフォーマンスそのものに目を向け、それぞれのパフォーマンスが語る言葉が論文集としてまとめられている。 [掲載箇所] 第Ⅰ部 「ひびき、空間、音楽様式」、第Ⅱ部「からだ空間と音響表現」、第Ⅲ部「音楽的字空間と人間存在」と大別された構成の中で、第Ⅰ部の6. 「西洋芸術音楽の自立」に掲載。 [本稿概要] 教会旋法を基に線的対位法を基準として作曲されていた中世・ルネサンス音楽と、和音を連結させた和声によって構成されたバロック音楽の根本的特徴を探るために、ルネサンス様式で作曲されたC.モンテヴェルディのマドリガーレ《西風は帰り》とバロック様式で作曲されたC.モンテヴェルディのシャコンヌ《西風は帰り》を比較したところ、前者では音楽が言葉の世界に支配されている状態であるのに対し、後者では音楽が言葉の世界から自立している状況を見て取ることができた。ここに1600年前後の西洋音楽史において如何なる本質的変化が生じたかを知る一つの契機を得た。
西洋音楽の歴史 (全255ページ) 共著1996年03月東京書籍 編著者: 高橋浩子、中村孝義、本岡浩子、網干毅  共著者: 泉健 他 pp. 59~64, pp. 181~187[著書概要] ヨーロッパの中世が始まる起点を9世紀に定め、それ以来現代に至るまでの1200年余りの期間を、中世、ルネサンス、バロック、古典派、19世紀市民社会、20世紀の6章に大別し、社会史の中の音楽の営みといった新しい視点の音楽史を構築した。 [掲載箇所] ・ 第2章「ルネサンスの音楽」の7.「イタリア音楽の興隆」 ・ 第5章「19世紀市民社会の音楽」の23.「ロマン派オペラの展開」 [本稿概要] 第7節 「イタリア音楽の興隆」: 16世紀の形成されていた「イタリアの国家系」にあって、16世紀から17世紀にかけてのイタリア音楽の独特な変遷を紹介しその中でG. ガブリエリに代表されるヴェネツィア楽派に焦点を当てて当時の世俗音楽について考察した。 第23節 「ロマン派オペラの展開」: 19世紀ロマン主義オペラについて、イタリアに関してはG.ロッシーニやV.ベッリーニに始まりG.ヴェルディに至るオペラの特徴、フランスに関してはグラントペラという壮大なオペラを、そしてドイツに関してはR.ヴァーグナーの楽劇を紹介し、その相互関連を検討した。
ポロネーズをめぐって共著2013年12月ポーランド広報文化センター (ふくろう出版)関口時正、田口雅弘pp. 11-25監修: フォーラム・ポーランド 編著: 関口時正、田口雅弘 共著者: 黒坂俊昭、平岩理恵、西田論子、小早川朗子 [著書概要] 特定非営利活動法人である「フォーラム・ポーランド組織委員会」は毎年テーマを定めて会議を開催しており、2012年は『ポロネーズをめぐって』が議題であった。その会議で発表された4つの講演がまとめられて書籍とされたものである。 [掲載論文] ポーランド・フォーラムの会議で発表した『ルネサンス期・バロック期におけるポーランド音楽の西欧音楽への影響: ポロネーズをめぐって』を土台に、 『ルネサンス期・バロック期におけるポーランド音楽の西欧音楽への影響』と題した論文を掲載した。 [本稿概要] 「ルネサンス期・バロック期におけるポーランド音楽の西欧音楽への影響: ポロネーズをめぐって」 ポーランドを代表する音楽「ポロネーズ」が誕生し確立するまでの過程を、イタリア人作曲家のマレンツィオ Luca Marenzioのマドリガーレ全曲、及びドイツのバロック音楽の源泉集DDT(Denkmäler Deutscher Tonkunst 全65巻)を詳細に分析することによって解明を試み、それらからの影響を明らかにした。また一方で、そのポロネーズが西欧音楽に与えた逆向きの影響についても検討した。
Wokół poloneza (Forum Polska Konferencja 2012) 共著2013年12月ふくろう出版 (ポーランド広報文化センター) 監修: フォーラム・ポーランド 編著: 関口時正、田口雅弘 共著者: 黒坂俊昭、平岩理恵、西田論子、小早川朗子pp. 11~25[著書概要] 特定非営利活動法人である「フォーラム・ポーランド組織委員会」は毎年テーマを定めて会議を開催しており、2012年は『ポロネーズをめぐって』が議題であった。その会議で発表された4つの講演がまとめられて書籍とされたものである。 [掲載論文] ポーランド・フォーラムの会議で発表した『ルネサンス期・バロック期におけるポーランド音楽の西欧音楽への影響: ポロネーズをめぐって』を土台に、 『ルネサンス期・バロック期におけるポーランド音楽の西欧音楽への影響』と題した論文を掲載した。 [本稿概要] 「ルネサンス期・バロック期におけるポーランド音楽の西欧音楽への影響: ポロネーズをめぐって」 ポーランドを代表する音楽「ポロネーズ」が誕生し確立するまでの過程を、イタリア人作曲家のマレンツィオ Luca Marenzioのマドリガーレ全曲、及びドイツのバロック音楽の源泉集DDT(Denkmäler Deutscher Tonkunst 全65巻)を詳細に分析することによって解明を試み、それらからの影響を明らかにした。また一方で、そのポロネーズが西欧音楽に与えた逆向きの影響についても検討した。
論文・解説等
書名単著・共著年月発行所、発表雑誌 (及び巻・号数)等の名称編者・著者(共著の場合のみ)該当ページ数概要
モンテヴェルディと西洋近代音楽の成立: オペラ《ポッペアの戴冠をめぐって》 (修士論文)単著1984年01月大阪大学大学院  C.モンテヴェルディの作曲したオペラ《ポッペアの戴冠》の音楽が、楽曲の構造分析を通してそれ以前のルネサンス音楽には見られることがなかった「カデンツ(和声終止形)」とうい機能的組織によって構成されていることを見出し、西欧合理主義にも符合するそのカデンツの形成及びカデンツ的機能的思考こそが、ルネサンス音楽とは原理を異にする17世紀から20世紀にかけてのいわゆる西洋近代音楽の基礎となったことを証明した。
モンテヴェルディのオペラ《オルフェオ》における音楽的統一: 和声法と空間認識をめぐって単著1988年03月昭和61年度、62年度、文部省科学研究費補助金(一般研究B)研究成果報告書  pp. 63~97C.モンテヴェルディの作曲したオペラ《オルフェオ》の音楽を和声と調性に限って分析することにより、そのオペラ全体がニ調(調性のニ長調またはニ短調のいずれにも限定されない、ニ音を中心とする調性とは異なる音組織)を中心とする調プランによって構成され、そのニ調の響きの中に統一されていることを見出した。同時に、そういった響きによる楽曲の包含こそが実態空間とは異なるオペラの真の空間認識であることを説いた。
音楽における美的感動について (研究ノート)単著1988年03月神戸学院女子短期大学研究紀要第21号  pp. 41~47音楽が有する本質的特徴を美学的に思索し、それらを手掛かりとして、我々が何故に音楽に感動するのかという疑問を解く端緒を探った。その一つとして、W.A.モーツァルトの完璧な作品に見ることができるように、神が「無」から「有」を創造する営みを、人間は、芸術(音楽)の場に於いてならば実態のあるものからではあるが「有」を創造することによって模倣でき、そこに感動を得ることができるのではないかという推論に達した。
ルネサンス音楽からバロック音楽へ単著1988年03月神戸学院女子短期大学研究紀要第21号 pp. 115~122西洋音楽史における最大の転換期の一つであると言われる1600年頃に音楽の様式が如何に変化したかを考察し、その上で16世紀の音楽と17世紀の音楽の本質的相違について論究した。その結果、17世紀に入ると芸術を自立させようとする時代精神の下、音楽も人間の側から離れ、人間の発露としてではなく、人間に対峙して立つ独立した世界を形成するもの、換言すれば人間に取り扱われる対象となったことが認められた。
C.モンテヴェルディの音楽的思考に関する一考察単著1989年03月相愛大学研究論集第5巻  pp. 43~6516世紀の音楽(ルネサンス音楽)と17世紀の音楽(バロック音楽)とでその本質が如何に異なるかを探るべく、16世紀から17世紀にかけて活躍した作曲家の一人であるC.モンテヴェルディの代表的劇用作品、《オルフェオ》、《タンクレディとクロリンダの戦い》、《ポッペアの戴冠》を取り上げ、それらの音楽に潜む原理的なるものを明らかにしようと試みた。その結果、それらの作品がもはや演劇として展開されるのではなく、音楽的時間に支配された音楽の世界にあるものとして取り扱われていることが理解された。
16・17世紀イタリアにおける記譜法の特色: 数字付低音譜の意味と意義単著1990年03月相愛大学研究論集第6巻  pp. 23-30数字付低音譜(Figured Bass)で記譜されたモノディ様式の音楽を考察し、数字付低音譜こそがバロック初期の音楽の特徴を捉えた記譜法であることを解説した。同時に、数字付低音譜が、誕生したばかりのホモフォニーの音楽である17世紀の音楽を、和音を収斂させていくことによって和声が確立した18世紀音楽へと導いたことも説いた。
音楽分析と現代: オペラ《ポッペアの戴冠》の詠唱「さらばローマ」をめぐって単著1991年03月相愛大学研究論集第7巻  pp. 17~21詠唱「さらばローマ」において、音楽に携わる人間と音楽作品との隔置を隠蔽しようとする作曲家の意図を見て取った。現代に生きる音楽を生きるがままに分析する一つの方法として、こういった「隔置と隠蔽」ということに焦点を当ててみた。
マーラーの歌曲とシュトラウスの歌曲: 歌詞に見られる近代と現代単著1995年03月相愛大学音楽研究所 音楽研究第1巻  pp. 18~26マーラーは歌曲の歌詞を採用するとき、好んで市民の身近な生活を題材にした詩を選んだ。それに対してR.シュトラウスの歌曲では、貴族的なロマン主義の詩が歌詞となっている。この相違は、R>シュトラウスが歌曲を歌ったり聴いたりする側の客観的な事柄として取り扱おうとしたことに由来する。そこに19世紀の音楽観と20世紀の音楽観との根本的な相違を見ることができる。
モーツァルト作曲オペラ《フィガロの結婚》 第二幕フィナーレに関する一考察単著1995年03月相愛大学研究論集第11巻  pp. 1~14《フィガロの結婚》 第二幕フィナーレを構成する8つの部分について各々の特徴を考察し、それらの巧妙な関連を見出した。またそのオペラにおいて、古典派音楽の特徴が楽節構造にまで及んでいることを理解し、作曲の意図がオペラの細部から全体に至るあらゆる段階で機能していることを説いた。
イタリア初期ロマン派オペラに関する一考察単著1996年03月相愛大学音楽研究所 音楽研究第2巻  pp. 8~1519世紀前半に活躍したイタリアの三人のオペラ作曲家、ロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニの作品が西洋音楽史上で果たした貢献について考察した。彼らのオペラは当時社会に台頭してきた市民に馴染みやすく、市民はオペラを通じて次第に芸術音楽に接近し、それを鑑賞することができるようになった。またベッリーニのオペラでは、人間の心理が描出されるようになり、そこに盛期ロマン派オペラの到来を窺うことができた。
ポーランド・ルネサンス音楽の諸相単著2001年03月相愛大学音楽研究所 音楽研究第7巻  pp. 7~21フェルシュティンのセバスティアン、イエジ・リバン、クラクフのミコワイ、シャモトゥウィのヴァーツワフ、ミコワイ・ゴムウカといった16世紀のポーランドで活躍した代表的な作曲家を取り上げ、その活動を中心にポーランドのルネサンス音楽が西欧の音楽と本質を同じくすると同時に、他の西洋諸国の音楽とは異なる独自性を有していることも明らかにした。
V. ベッリーニのオペラ書法に見られる一側面: オペラ《ノルマ》第一幕第1場アダルジーザとポッリオーネの二重唱をめぐって単著2002年03月相愛大学研究論集第18巻  1~26論文のタイトルに掲げたオペラ《ノルマ》の二重唱の分析を通して、ベッリーニのオペラに見られる旋律と言葉の関係、及び旋律と音楽構造の関係を中心に、ベッリーニのオペラ書法の一端を検討しようと試みた。その結果、歌詞となる韻文や小節メトルムといった音楽構造がそこに大いに関与していることが理解された。
「中世ポーランド音楽の研究(1): 単旋律の宗教歌をめぐって」単著2007年03月音楽研究(相愛大学音楽研究所)第10巻 pp.1-11西洋クラシカル音楽の中欧・東欧的起源を探究し、その音楽の中欧・東欧的展開を検討するために、まず中欧において地理的のみならず民族的・文化的に、就中音楽的に大きな位置を占めるポーランドに限定し、上記に挙げた問題の検討を行なった。
「ポーランド音楽と西欧音楽との関係: 第16回ショパン国際ピアノ・コンクールの場合」単著2012年03月研究論集(相愛大学)第28巻  pp.73-882010年に開催された「第16回ショパン国際ピアノ・コンクール」の内容及び結果から、ポーランド音楽に対して語られる「ポーランド的要素」と「西欧的要素」の止揚した演奏が主流となってきていることを明らかにし、ポーランド音楽に新しい理解が生まれていることを説いた。
Wpływ muzyki polskiej na muzykę europejską w okresie renesensu i baroku (tłmacz: Renata Sowińska-Mitsui) 単著2012年12月Forum Polska Konferencja 2012 pp. 62-74ポーランドを代表する音楽「ポロネーズ」が誕生し確立するまでの過程を、マレンツィオ Luca Marenzio のマドリガーレ全曲、及びドイツのバロック音楽の源泉集 DDT (Denkmäler Deutscher Tonkunst 全65巻)を詳細に分析することによって解明しようと試み、その影響を解明にした。また一方で、そのポロネーズが西欧音楽に与えた逆向きの影響について検討した。
山田耕筰がめざした音楽単著2015年12月山田耕筰先生没後50年記念演奏会実行委員会 「元相愛大学音楽学部教授・初代学部長 山田耕筰先生没後50年記念演奏会プログラム」 pp. 6~7山田の作曲した有名な《赤とんぼ》は日本音楽だろうか、といった問いから始め、彼の音楽が本質的にドイツ音楽であり、山田自身、それに気づき、そこから脱出しようと考えていた。それをめざして山田は「融合芸術論」などの概念を考案していくが、音楽と身体運動との係わりが重要であるとまで進みながらも、新しい概念による音楽を創造するといった目的まで達することができなかったことを解説した。
近代日本における「音楽」と「音楽学」単著2016年03月総合研究センター報告書「近代化と学問」 (相愛大学総合研究センター) pp. 159-174明治期に入り、邦楽に替わって歌われるようになった唱歌をはじめとする音楽や西欧諸国から導入されたクラシック音楽について紹介し、他方で当時の「美」と「芸術」についての概念を検討することによって、それらの音楽の在り方を明らかにした。またそのような音楽についての当時の研究状況に始まり、その頃より70年ほど経た第二次世界大戦後に設立された音楽学会についてその現在に到る変遷や今後の方向性について考察した。
17世紀におけるイタリア音楽とポーランド音楽の相互影響に関する一側面単著2017年03月相愛大学 研究論集第32巻 pp. 1~1717世紀のイタリア音楽とポーランド音楽の関係に目を向けると、当時の西洋音楽の最先端を進んでいたイタリア音楽がポーランド音楽に一方的に影響をを及ぼしているように思われる。しかしその影響は、詳細に観れば、イタリア音楽は単純にポーランドの流入してはいない。例えば、イタリア音楽は17世紀に入ると、宗教的な傾向よりも世俗的な傾向を強めたのに対し、ポーランドでは宗教的な色彩が濃く、イタリア音楽の理論や構造を受け入れながらも、それを宗教的な方向へ向けようとしていたのである。さらに興味深いことには、ポーランド音楽の宗教性がイタリア音楽へ影響を及ぼし、ポーランドで活動するイタリア人作曲家によるポーランド語によるポーランドの聖人を讃える歌を作曲させた。ここに、音楽における宗教的な精神が、イタリア音楽からポーランド音楽へ向かう方向とは反対方向、つまりポーランド音楽からイタリア音楽に及ぼされていった様子を観ることができる。一方的でない両者の音楽の関係の一端が示せたと思う。 [査読有]
中世西欧音楽の聖と俗単著2018年03月相愛大学宗教部 法輪 第29号 pp.19~24 西欧の中世では、教会の音楽と世俗の音楽には、音楽を構成する音組織そのものが相違していたが、14世紀に入るとその相違は見られなくなった。それは両者の融合による解消のように見えるが、実態は13世紀以前の教会音楽が恣意的に区別していた仕切りが取り払われたことに因るものであった。  一方、生活において我々は聖と俗とを分離して捉える習慣があるが、それも実態は聖に包まれた中で、直接神仏と関わる部分と直接関わらない部分とに分離したものにすぎない。要するに音楽はすべてが宗教的活動であり、その中で直接神仏を讃える音楽が宗教音楽、そうでないものが世俗音楽とされているのである。  そのように捉えると、次に我々の音楽活動における人間性の存在が問われてくる。その際、仏に守られ、しかも人間性を尊重した浄土真宗のみ教えこそが我々の音楽活動を支えてくれることを解説した。
講演会
題目年月概要
音楽の成果を機関リポジトリに載せる問題点2010年12月DRF(デジタルリポジトリ連合)が主催するワークショップ(芸術・音楽・体育)「DRF-ARMS 美大・音大・体大から論文以外の学術成果を発信する」(於:東京藝術大学)において、音楽大学における研究・教育成果をリポジトリに載せてオープン・アクセス化した状態で発信する問題点を分析し、紹介している。
ルネサンス期・バロック期におけるポーランド音楽の西欧音楽への影響: ポロネーズをめぐって2012年12月2012年12月8日(土)、駐日ポーランド共和国大使館多目的ホールで開催された「フォーラム・ポーランド 2012年会議」に於いて、 ポーランドを代表する「ポロネーズ」が誕生するにあたって受けた西欧からの影響、またその形成過程及び確立後にそのポロネーズが西欧音楽に与えた逆向きの影響を考察し、解説した。
近代日本における『音楽』の概念2014年02月相愛大学総合研究センター公開講座(於:相愛大学)。 明治期より西洋音楽が日本に導入されたことは広く知られるところであるが、それがもたらした音楽文化の変化について解説すると共に、音楽を研究する分野に於ける変遷、すなわち音楽学の導入のされ方についても考察した。その結果、「音楽」の持つ概念が明治期から現代に近づくにつれて、次第に美的なものから遠ざかる傾向にあることも説いた。
ショパンとサンド ~ ピアノを愛してピアノに愛され 2016年12月神戸新聞文化センター(於:神戸新聞文化センター教室)「KCCシリーズ講演会: 偉人が愛した女性たち第4回」 フリデリク・ショパンとジョルジュ・サンドは、一見甘く魅惑的な関係によって結ばれていたかのように捉えられている。確かにショパンの楽曲には、そういった感情を反映するような作品も少なくない。しかし二人の関係はそのようなものではなかった。胸の病に侵されたショパンがサンドに甘えていたのに対し、サンドはショパンを母性的な愛情で包んでいた。ショパンは、ロシアなどに支配されたポーランドが独立を勝ち得るように、ポーランド民族を奮起させるポロネーズなどを作曲したが、それを可能にしたのはサンドの母性的な愛情であった。この関係を楽曲への影響を示しながら解説した。
山田耕筰のめざした音楽2017年03月相愛大学総合研究センター公開講座(於:相愛大学)。 山田耕筰(1886-1965)の歌曲は、歌詞に日本語が用いられているが、音楽自体は西洋近代の調性音楽である。また山田はベルリンに留学し、西洋音楽のアカデミックな作品の真髄を学ぼうと考えていた。これらの状況から観れば、山田は日本語を歌詞とする歌曲と純粋なドイツ音楽の作曲をめざしていたと思われる。前者は確かに山田のライフワークの一つとなったが、後者は日本人として馴染むことができず、新たな音楽の確立を求めようとした。その結果、山田は独自の新しい音楽として、音楽が身体と呼応し演奏家が自己の心身を一体化させる瞬間を感じ取るような作品を手掛けるようになった。ただこの理念による音楽は、山田によっては完成されず、その後も顧みられていない。しかし100年を経た今、音楽がさまざまな局面で身体と協調する様子が見え始め、ここに山田のめざした音楽がようやく実現される時が来たと予感させる状況について解説した。
その他
書名単著・共著年月発行所、発表雑誌 (及び巻・号数)等の名称編者・著者(共著の場合のみ)該当ページ数概要
【百科事典の項目(音楽関係)】 日本大百科全書 (全25巻)共著1988年06月小学館著者: 山口修、大崎滋生、樋口隆一、寺本まり子、今谷和徳、中野博詞、船山信子、細川周平、関根敏子 他 [記載項目] 「イタリア音楽」、「イタリア民謡」、「アダージョ」、「アルト」、「アルペッジョ」、「アレグロ」、「アンダンテ」、「演奏記号」、「オクターブ」、「オー・ソレ・ミオ」、「オブリガート」、「音域」、「楽式」、「楽章」、「楽節」、「楽典」、「カデンツァ」、「休止符」、「協和音」、「グリッサンド」、「コロラトゥーラ」、「根音」、「三全音」、「サンタ・ルチア」、「三和音」、「終止記号」、「常動曲」、「シンコペーション」、「スピッカート」、「声域」、「セリー」、「全音音階」、「旋法」、「旋律」、「装飾音」、「総譜」、「ソプラノ」、「ソロ」、「対位法」、「ダ・カーポ」、「多調性」、「調」、「通奏低音」、「テトラコルド」、「転調」、「テノール」、「テンポ」、「トゥッティ」、「トレモロ」、「ネウマ」、「バス」、「バリトン」、「ピアノ」、「ピッツィカート」、「拍子」、「非協和音」、「非和声音」、「フィナーレ」、「フェルマータ」、「「フォルテ」、「不協和音」、「譜表」、「ベル・カント」、「ヘクサコード」、「ボーイ・ソプラノ」、「本位記号」、「ポルタメント」、「メッゾ・ソプラノ」、「モノディ-」、「リフレイン」、「ルバート」、「レガート」、「連音符」、「和音」、「和声」といった音楽に関連する項目を解説している。
【百科事典の項目(音楽関係)】 スーパー・ニッポニカ(2001) (DVD-ROM版) 共著2001年01月小学館著者: 山口修、大崎滋生、樋口隆一、寺本まり子、今谷和徳、中野博詞、船山信子、細川周平、関根敏子 他 上記「日本大百科全書」が改訂され、電子版化されるにあたって、「イタリア音楽」(9,000字)などの項目をリライトした。
【報告】 ワルシャワにおけるポーランド音楽文献資料所蔵機関単著2002年03月相愛大学音楽研究所 音楽研究第8巻  pp. 1~6ワルシャワにおけるポーランド音楽の研究機関(図書館及び研究所)やポーランド音楽の資料を保管する施設(教会、史跡、建造物など)について、その所在や連絡先等を列挙した。
[演奏会プログラム] 赤穂国際音楽祭 Le Pont 2009単著2009年10月赤穂ハーモニーホール・赤穂ロイヤルホテル pp. 9-13ショスタコヴィッチの《チェロとピアノのためのソナタ》、ブラームスの《弦楽六重奏曲》など、4日間にわたる全演奏曲目(12曲)のプログラム・ノートを作成した。平成21年10月9日~10月12日
[翻訳](ポーランド語) Jan WĘCOWSKI: Polska Muzyka Religijna (Zaryz Dziejów) Ⅲ. Barok (ヤン・ヴェンツォフスキ著: ポーランドの宗教音楽 (歴史的概観) Ⅲ.バロック期単著2010年03月音楽研究(相愛大学音楽研究所)第11巻  pp.59-81ポーランドのバロック期に展開された宗教音楽について、その理念に始まり、中心地、楽曲形式、演奏形式、作曲家などについて詳細に紹介されたレポートを翻訳した。