書名 | 単著・共著 | 年月 | 発行所、発表雑誌 (及び巻・号数)等の名称 | 編者・著者(共著の場合のみ) | 該当ページ数 | 概要 |
「『競争』の授業に挑む」 | 単著 | 1998年11月 | 『たのしい体育・スポーツ』
学校体育研究同志会
| | | 1997年度学校体育研究同志会大阪支部研究部の研究報告。
「勝敗に異常にこだわる」「勝利至上主義」という現状があるなか、学校体育では「競争」をどう教えてきたのかという問題意識で取り組んだ集団研究・実践の成果と課題をまとめたもの。
体操競技の採点基準、混成競技の得点化、丸太投げやハンマー投げの歴史の追体験などを通して子どもたちにスポーツの「競争」について考えさせた。
|
「ヴィゴツキーから私たちは何を学ぶか」 | 単著 | 2011年01月 | 『たのしい体育・スポーツ』
学校体育研究同志会
| | | 健康教育で「エイズ」を取り上げた大津氏の実践を、ヴィゴツキーの「教育心理学講義」で問い直し分析した論考。大津氏は、世界のエイズ患者の実態と悲劇、エイズ発病の仕組み、製薬会社営利優先の事実とそれを覆した民衆のパワーなど、様々な資料を駆使して、子どもたちと対話の授業を行った。この授業を通して「ネットで性情報に夢中になる」子どもが、エイズに関して真摯に向き合うように自己変革していった。ヴィゴツキーは「性教育の最終目的は人間の愛を教えること」と述べるが、これは大津氏のエイズ実践で具現化されていた。 |
「障害児体育における運動文化の教材化とその実践についての一考察」 | 単著 | 2011年03月 | 和歌山大学 原ゼミ論集 | | | 和歌山大学大学院の修士論文。
本論では、障害児体育において運動文化を教材化すること意味及び内容について考察することを通じて、障害児に体育を教えるとはどういうことか、その際の課題は何かを論じた。
運動文化の概念と内容を明らかにし、障害児体育における運動文化の教材化、また、障害児と学習集団について、先行研究・実践から成果と課題を整理した。この整理をもとに、神戸大学附属特別支援学校の実際の体育授業を観察し運動文化の教材化と学習集団づくりの具現化を考察した。その際、ヴィゴツキー、ケパートの知見を援用し実践を分析総合した。そして障害児体育における学習集団のあり方とその可能性を探った。
|
「中村敏雄と『体育の理科』」 | 単著 | 2011年11月 | 『たのしい体育・スポーツ』
学校体育研究同志会
| | | 戦後の優れた体育実践家であり、スポーツ文化研究の第一人者である中村敏雄は、「体育科は運動文化の継承・発展に関する科学を教える」という研究課題を、小学生を対象とした授業で検証するために、枚方の小学校教師たちと共同で走り幅跳びの実践を行った。この走り幅跳びの実践は、子どもたち自身が予想を立て実験方法を考え実験し、結果から得た一般法則を練習で確かめる授業であったので、「体育の理科」と呼ばれた。
こうした中村と小学校の教師たちの共同した実践づくりの意義とそこから何が学べるかを解説している。
|
「『ともに意味を問い直す』障害児体育とは」 | 単著 | 2012年05月 | 『たのしい体育・スポーツ』
学校体育研究同志会
| | | 「卒業生を送る会(柏原市小中支援学級合同の学習発表会)に向けて、小学校支援学級で取り組んだ民舞「虎舞」の実践記録。
発達段階に大きな差がある子どもたちに対して、「虎舞」という同じ教材を集団で学ぶことを大切にした。子どもたちは当然発達年齢によって「虎舞」のとらえ方が違う。その違いを交流することで踊りに対する認識を深め、個性ある表現にそれぞれが高めていった。「虎舞」は、東北の岩手県の民俗舞踊である。2011年3月11日、東日本大震災で被災された方々が、「虎舞」の復活で生きる元気をもらったという。こうした事実も紹介した。
支援学級の子どもたちは一生懸命練習し「卒業生を送る会」本番では東北や日本が元気になるよう願いを込めて踊った。
|
民舞分科会(入門提案)「民舞を教材化するとは」 | 単著 | 2014年07月 | 学校体育研究同志会 第30回大阪支部研究大会(北河内大会)提案集【大阪府教育委員会・枚方市教育委員会後援】 | | | まずは、「民舞」とは「民俗舞踊」と「民族舞踊」の略称であり、両者の違いを、歴史的背景や保育・学校教育での広がりを通して解説している。次に、「民舞」が大阪の保育・教育現場で、どのように広がり、子どもや保護者、地域から評価を得てきたかを紹介し、「民舞」の教育的意義について述べた。とりわけ、運動会の集団演技での「南中ソーラン」(これは「民舞」ではなく「和風ダンス」と言える)の爆発的な広がりについて、その成立過程と学校現場で取り上げられてきた理由などを分析した。この「南中ソーラン」の教育的価値を認めつつも、「民舞」としての舞踊的要素の欠落や実践の目的、内容、方法の課題や限界についても指摘している。 |
幼年体育分科会(基調提案)「荒馬を教材化するには」 | 単著 | 2017年07月 | 学校体育研究同志会 第32回大阪支部研究大会(泉佐野大会)提案集【大阪府教育委員会・泉佐野市教育委員会・岸和田市教育委員会後援】 | | | 日本各地の保育・教育現場で取り組まれてきた「荒馬」は、青森県今別町の民俗芸能「荒馬」(2003年青森県無形民俗文化財に指定)がもとになっている。まずは、この「今別町荒馬」の起源を求める研究の紹介を行い、次に、「今別町荒馬」が教育的加工を経て、保育・学校現場への伝番していった様子を述べている。とりわけ、大阪の教育現場への伝番について、二つのルート(「わらび座の荒馬」と「ダンプ園長の荒馬」)があり、その中で出現した「学校荒馬」(馬を付けないで手綱だけで踊る)について、魅力と課題について述べている。最後に、「学校荒馬」を乗り越えた「荒馬」の教材化が求められていると結んでいる。 |
高校・大学体育分科会(実践提案)「体育の授業で学生に何が残ったのか」 | 単著 | 2017年08月 | 第157回学校体育研究同志会全国研究大会(山梨大会)提案集 【山梨県教育委員会・甲府市教育委員会・笛吹市教育委員会後援】 | | | 2016年度、相愛大学における筆者(当時非常勤講師)の「体育科指導法」授業実践報告である。筆者は小学校教員であったため、大学生を対象にした授業に取り組むのは初めてだった。大切にしたのは次の二点である。①今の青年・学生をどうとらえるかを問い続けながら、子どもにとって魅力的な〝明日の教師″の誕生を支援する。②小学校教員という実務経験者としてのその実績を大学教育の現場でどう生かせるかを念頭に授業を構想する。授業方法としては、①毎授業後の学生の授業コメントから、学生の意見や感想を念頭に入れ次の授業づくりを行う。学生の授業コメントは、講義通信に掲載する。②運動の苦手な学生、得意な学生が教え合うようなグループ学習で授業を進める。③体育実技だけではなく、体育理論や健康教育などの座学も取り入れる。講義開きは、学生が驚くような仕掛けをつくり、体育の授業の期待感を持たせた。全講義最終盤に「学生の授業評価アンケート」調査を行ったが、概ね高い評価を得た。 |
民舞分科会(入門提案)「踊って子どもに何が残るのか」 | 単著 | 2018年07月 | 学校体育研究同志会 第33回大阪支部研究大会(中河内大会)提案集【大阪府教育委員会後援】 | | | 筆者の「民舞」との出会いから、「日本の子どもに日本の踊りを」という思いで、大阪の学校現場で「民舞」実践の普及に取り組んできたことを時系列に紹介している。とりわけ、民俗舞踊「荒馬」が、どういった経路で保育・教育現場に加工され伝播されてきたかを取り上げ、その魅力と課題を述べている。筆者は保育・教育の中で「荒馬」は日本固有の身体文化を学ぶための共通の基礎教養になると考えている。それは、「荒馬」は、民俗舞踊の特徴的な動きである「ナンバ振り」や感覚的な言葉だが「みえ」「ねり」「間(ま)」「きれ」が備わり、また、就学前、学童期の子どもたちを引く付けるリズムと躍動感があるからである。大学生への「荒馬」の指導では、「跳ぶ」のではなく「踏む」ことを意識させ、自分らしい豊かな表現にしていくためには、「型から入り、型から脱する」ことを押さえた。 |
民舞&運動会分科会(入門提案)「改めて踊って子どもに何が残るのか」 | 単著 | 2019年07月 | 学校体育研究同志会 第34回大阪支部研究大会(奈良大会)提案集【大阪府教育委員会後援】 | | | 舞踊教育について、進藤貴美子(北海道教育大学)と出原泰明(名古屋大学)の見解を紹介した。進藤は、舞踊教育における「からだ」のとらえ方や内観を重要だと捉えるが、一方出原は舞踊教育の「神秘主義」に警鐘をならし、舞踊を科学の目でとらえる視点が必要としている。久保健(日本体育大学)は、両者の相違をまとめ「『舞踊文化固有の方法』を正面に据えながら『科学の方法』をうまく併用して、文化研究・教科内容研究とそれに基づく教育実践を追究していくことである」とした。このような研究者の言説を踏まえた民舞の教材化と実践化が必要であり、改めて民舞で何を教えるのか、そしてその指導方法についての具体的な提案を行った。 |
「バレーボールは多彩な教材づくりの宝庫」 | 単著 | 2021年01月 | 『たのしい体育・スポーツ』学校体育研究同志会 | | | 「たのしい体育・スポーツ」誌の特集1「続・私たちのスポーツ文化研究」で、バレーボールの文化研究を担当執筆。バレーボールの起源、初期のルールでのゲーム様相、競技バレーボールへの変化など、Q&A方式で、バレーボールの歴史や文化を解説している。 |