書名 | 単著・共著 | 年月 | 発行所、発表雑誌 (及び巻・号数)等の名称 | 編者・著者(共著の場合のみ) | 該当ページ数 | 概要 |
The Leaf-encumbered
Forest: Mrs.
Dalloway’s Ego | 単著 | 1988年12月 | Osaka Literary
Review No. XXVII | | pp.73-85 | V. Woolfの小説Mrs DallowayのヒロインClarissa Dallowayの内に対立的性向、すなわち性的忌避・潜在的死願望と世俗的野心・生への執着とのアンビバレントな衝動が存在することを、Clarissaの意識描写に現れる森のイメージと、彼女が鏡に向かった時の鏡像の描写に注目してテキストを分析した。pp. 73-85 昭和63年12月1日 |
創作への意志―Jacob’s Room試論 | 単著 | 1989年12月 | Osaka Literary
Review No. XXVIII | | pp. 154-168 | V. Woolfの小説Jacob’s Roomを、エッセイA Room of One’s Ownにおける主張をもとに読み解くことを目指した。WoolfはA Room of One’s Ownにおいて、文学の創作に不可欠と彼女が考える “androgynous mind”が現代に失われているとして、その理由をフェミニズムの立場から論じた。これを踏まえJacob’s Roomの作品世界をフェミニズム的問題意識を孕みつつ過去への郷愁を反映したものとして読み解いた。pp. 154-168 平成1年12月1日 |
To the Lighthouse におけるテクストとLilyの絵のパラレリズム―包括・統合への試み | 単著 | 1994年03月 | 『相愛女子短期大学研究論集』第41号 | | pp. 99-114 | V. Woolfの小説To the Lighthouseのテキストの展開とLilyの絵の創作過程がパラレルな関係にあることに注目して、作品のメタフィクション的側面を分析し論じた。両者は共に家父長制イデオロギーの掲げる真理とは異なる統合的ヴィジョンを求める。開き直ることの出来るポストモダンの作家とは異なり、それが不可能な試みと知りつつ求めずにおれないところに両者の抱える問題がある。pp. 99-114 平成6年3月1日 |
内と外のモザイク―V. Woolfの“Kew Gardens” | 単著 | 1996年03月 | 『相愛女子短期大学研究論集』第43号 | | pp. 87-99 | V. Woolfの短編 “Kew Gardens”について作品の構成に着目し、Woolfが好んで扱ったテーマである「自我」の問題との関わりから論じた。様々な「内的世界」を抱える人間と「非人格の世界」としての蝸牛が交互に描かれてモザイク構造をなしている。二つの世界が融合し、「人生」の一面が描出されたかに見えながら、実は「人生」の真の姿は求めても常に遅延され続けることをテキスト自体が露呈している。pp.87-99 平成8年3月1日 |
“Liminars”の孤独―Katherine Mansfieldと3つの短編― | 単著 | 2006年03月 | 『相愛大学研究論集』第22巻 | | pp. 17-34 | “liminality”という心理学、文化人類学の概念を用いてKatherine Mansfield とVirginia Woolf の類似性を論じたAngela Smithの議論を踏まえ、Katherine Mansfield自身のイニシエーションとliminalityの問題について考察した。さらにその視点に立って子供から大人へのイニシエーションを扱ったMansfieldの三つの作品の分析を試みた。pp. 17-34 平成18年3月1日 |
ヴァージニア・ウルフが描いた「生」のかたち―クラリッサ・ダロウェイの死生観から― | 単著 | 2008年03月 | 『相愛大学人文科学研究所研究年報』第2号(相愛大学人文科学研究所) | | pp. 12-24 | 2007年9月6日相愛大学公開講座の内容を加筆修正したもの。ヴァージニア・ウルフの伝記的要素、創作意識を念頭に置きながら、『ダロウェイ夫人』のヒロイン、クラリッサ・ダロウェイの死生観を分析し、ウルフの作品に見られる生と死のテーマへのこだわりを論じた。pp.12-24 平成20年3月1日 |
『灯台へ』のパーティ―社交・芸術・女性のつながり | 単著 | 2011年10月 | 『ヴァージニア・ウルフ研究』第28号(日本ヴァージニア・ウルフ協会) | | pp. 1-20 | ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』の重要なモチーフであるディナーパーティを、ウルフと同時代のドイツの哲学者・社会学者ゲオルグ・ジンメルの社交論とジンメルの議論をもとに独自の論を展開した山崎正和の社交論を参照しつつ論じた。その中で、社交と芸術のつながり、パーティにおける女性同士の連帯を読み取ることで、社交に活かされてきた女性の創造力が芸術の領域で受け継がれていく可能性が、作品に示唆されていることを指摘した。pp.1-20 平成23年10月1日(査読有) |
パーティにおける生と死――ヴァージニア・ウルフとキャサリン・マンスフィールドの作品から―― | 単著 | 2015年03月 | 『りずむ』第四号(白樺サロンの会) | | pp. 5-21 | ヴァージニア・ウルフは、個を重んじる男性中心的な考え方をずらすように、自己の世界と他者との交流の世界との間をより自由に行き来する女性たちを描いた。古くから文学作品のモチーフあるいは背景として描かれてきた社交、パーティを、そのような女性たちの視点から描いた、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』『灯台へ』、さらにウルフと同時代の女性作家キャサリン・マンスフィールドの「園遊会」を取り上げ、ヒロインたちが作り上げる社交の世界を通して照射される生と死について論じた。(査読無) |
ヴァージニア・ウルフの始まりと終わりの地――セント・アイヴスとロドメル―― | 単著 | 2016年03月 | 『りずむ』第五号 (白樺サロンの会) | | 35-51 | ヴァージニア・ウルフの記憶の始まりにあるセント・アイヴスと、彼女が最後に住んだ地であるロドメルがウルフにとってどのような意味を持つ場所であったのかを検討した。その中で、セント・アイヴスにあるタランド・ハウスが彼女の幸福な幼年時代を象徴する場所であり、ロドメルのモンクス・ハウスはその過去の記憶につながる場所として、彼女に安らぎと幸福を与えてくれる場所であったことを示した。さらにモンクス・ハウスでの村のコミュニティや友人との社交を通して見えてくるウルフの矛盾する感情や性向を分析した。(査読無) |
変容するblissと梨の木――Katherine Mansfieldの”Bliss" | 単著 | 2017年10月 | ヴァージニア・ウルフ研究 第34号(日本ヴァージニア・ウルフ協会) | | 42-62 | Katherine Mansfieldの著作や伝記的研究を参照しつつ、彼女のバイセクシュアリティと結婚(制度)に対するアンビバレンスを明らかにした上で、"Bliss"の曖昧さを生むいくつかの要素を分析、考察し、そうした作者の複雑な意識をヒロイン、バーサの意識と作品の語りの中に読み込んだ。(査読有) |
19世紀後半から20世紀におけるイギリス人にとっての「日本」―― イギリスと日本の出会い、そしてハーンからリーチへ | 単著 | 2019年03月 | 相愛大学研究論集 第35巻 | | 1-11 | 19世紀後半から20世紀に至る時期のイギリスにおける日本文化の受容について論じた。1858年日英修好通商条約以降、イギリスでは文化・社会的事情や芸術的思潮と結びつく形で日本の文化が受容されていった。それにより生じた日本ブームとジャポニスムの影響下で日本に赴いたラフカディオ・ハーンとバーナード・リーチが、自己のルーツや生い立ちの影響から西洋文明批判の視点を持ち、それぞれ独自の日本文化理解と受容に至ったことを指摘した。(査読有) |
アリ・スミスのテクストとトークに映るマンスフィールドとウルフ | 単著 | 2024年11月 | ヴァージニア・ウルフ研究 第41号(日本ヴァージニア・ウルフ協会) | | 40-52 | 本論は、特集「ウルフ、マンスフィールド、そしてアリ・スミスーー英語圏女性作家の影響/継承」の「序」にあたる。この特集は、20世紀初頭の作家ヴァージニア・ウルフ、キャサリン・マンスフィールド、そして現代作家アリ・スミスの影響/継承関係を、三作家に共通してみられる「越境」というテーマを軸に考えるというものであり、その導入として、三作家のつながりや「越境」というテーマとの関わり、さらには「影響/継承」という問題を、アリ・スミスを起点として考察した。 |